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『水辺のゆりかご』 by 柳美里 [Books 作家別_やらわ行]


水辺のゆりかご (角川文庫)

水辺のゆりかご (角川文庫)

  • 作者: 柳 美里
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫



ひきこもりをした事もない。
グレた事もない。
平凡すぎる程平凡な半生を送ってきたMinMinですが、この本で柳さんが語っている
学生時代の事、とても良く分かる気がしました。

柳さんとMinMin。
共通点は女子校に通ったという環境に関する側面だけだと思って読み進めました。
でも読んでいるうちに、その時代に自分が密かに持っていた「自意識」やら
「単独行動を求める気持ち」が蘇ってきてなんだか他人事とは思えなくなっていました。

もちろん、凡人の私は集団が醸し出す雰囲気に対して「嫌だな」とか
「馬鹿馬鹿しいな」なんて思いながらも、なんとなくそんな気持ちと日常との帳尻をあわせて
生活していました。
いわゆる健全な青少年時代ってヤツです。
ただし、それはやっぱり表向きの姿でしかなかったんじゃないかと、この本を読んでから
思えてきました。

制服に閉じ込めた、急激に成長する体。
幼稚さと背伸びがアンバランスに混在する心。
結果を求められる勉強や部活。
急に口やかましく感じられるようになった親。
見えない未来。

時には息切れしてしまいそうな日々も確かにありました。
親しい友人や、無条件に愛してくれていると思える両親の存在がなかったら
MinMinはもしかしたら全然違う今を生きていたかもしれません。
(柳さんが駄目な道を歩んでいるという意味ではありません・・・・念のため!)

柳さんには才能があった。
周囲の理解者は非常に少なかったかもしれないけれど、彼女の鋭すぎるほどの
感受性と辛い環境がその才能に結果的に水を与え、肥料を与えた事になるのかも知れません。

ただ・・・・一つだけ気になるのは、作家としてではなく、一人の人として柳さんが安らげる
場所があるのかなって事です。
あえて辛い道や痛みの伴う道を急ぐように進んでいる気がして、読んでいてかなり
不安な気持ちになりました。

でも何故か嫌いじゃない1冊です。
軽い気持ちでオススメ出来るかと言われれば・・・・うーん、ですが。
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『肩ごしの恋人』 by 唯川恵 [Books 作家別_やらわ行]

肩ごしの恋人

肩ごしの恋人

  • 作者: 唯川 恵
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 単行本

なんだか・・・・・色んな事が簡単に描かれているなぁ。
恋も仕事も友情も。
こんなモンじゃないでしょう?って思わずツッコミたくなるお話。

女である事を最大限利用し、我慢をしない女・るり子。
るり子は結婚も3回目。手に入れると飽きてしまう女です。
そんな彼女の親友・萌はクールで理屈っぽく、距離を置いて人生と接している。
お互いに微妙な気持ちをお互いに対して持ちつつ、離れられない2人は
家で少年をかくまったり、ゲイの友人が出来たりする経験の中からそれぞれの幸せを探す。
そんなお話。

全然リアルじゃない。
この作品が男性の手で描かれた物なら「あぁ、男の人ってこんな風に思っているんだ」って
お気楽に読めるかも。
ただ、女性が女性をこんな風に描くとは・・・・。
お勤めした事ありますか?
結婚したことありますか?
本気で恋した事、ありますか?  
なーんて意地悪な質問をしてしまいそうになります。

ちょっと嫌なことがあると会社を辞めてしまい、出会う男ほとんどと寝てしまう萌の
人生には個人的には共感できないなぁ。
そして「愛情」について深く考えたり感じたりしたことの無いるり子の人生もしかり。
そしてどちらも、最終的には急遽登場する理解あるゲイの存在によって変わっていく・・・・。
ありきたり。ゲイは水戸黄門の印籠じゃないんだから。

頭を空っぽにするのには良いのかも。
あまり考え込まないで本に親しみたいという方には良いかもしれません。
個人的には・・・・・ちょっとゴメンナサイですが。


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『プラナリア』 by 山本文緒 [Books 作家別_やらわ行]

プラナリア

プラナリア

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/09/02
  • メディア: 文庫

疎いMinMin。この本を読むまで山本文緒さんの存在をしりませんでした。
本屋さんで『表紙が綺麗♪』と手に取った1冊。
直木賞受賞短編集で・・・・・
 プラナリア
 ネイキッド
 どこかではないここ
 囚われ人のジレンマ
 あいあるあした     の5編が収録されています。
どれも現代女性を軸に展開していくお話ですが、印象に残ったのは『プラナリア』と
『あいあるあした』の2作。

『プラナリア』は乳がんで片方の乳房を切除した経験の持ち主が主人公。
彼女(春香)はその経験の後、定職にもつかず、年下の彼とボチボチ付き合っています。
「生まれ変わったらプラナリアになりたい」と公言し、飲み会の席を凍りつかせたり
非生産的な生活を送る彼女は、入院中に憧れていた美女・永瀬さんと町で偶然出会います。
で、ひょんな事から彼女の勤める甘納豆屋でアルバイトをするのですが・・・・・。

『あいあるあした』の主人公は男性。
会社勤めを辞め、飲み屋を始めた男・真島誠は同棲中。
お相手は店を始めたばかりの頃に客として来店した風変わりな女・すみ江。
仕事をしている気配もない、店に来ては占いをしたり、そのお礼に酒をおごってもらったりと
自由気ままに生きている彼女ですが、真島とはそれなりに上手く関係を築いています。
常連客や店員の太久郎、そして真島の間をスイスイと泳ぐように生きるすみ江。
でもある日・・・・・。

どちらのお話に登場する女性も一見とても好き勝手生きてる。
でもMinは彼女達がその「自由だと思っている状態」に縛られているように感じました。
春香はあえて乳がんだった事を所構わずカミングアウトしたり、自分の生き方に
そぐわない相手に対しては物凄く辛辣な態度を取ります。
すみ江はそもそも宿無しで、公園に住んでいたり、真島の下で暮らすようになっても
プイッと出て行ってしまう。
でもそれぞれの行動の根底にあるものは『思い通りに行かない何か』に対しての
鬱憤を晴らしたり、人生の帳尻を合わせてバランスを取るための行動に思えました。

自分をどんどんデフォルメしていくと、もしかしたら彼女達みたいな存在になるかも知れない。
増殖を重ねるプラナリアになりたかったり、お金の続く限り引きこもってみたり・・・・。
そう考えると、この作品って大袈裟に言えば「鏡」みたいだなって思います。
それも社会全体を映し出す巨大な鏡じゃなくて、その中の個を反射させる手鏡みたいな短編。
覗き込むと若干居心地の悪さを感じる・・・・そんな作品。
ご興味あるかたは是非手に取ってみてください。


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『蹴りたい背中』 by 綿矢 りさ [Books 作家別_やらわ行]

蹴りたい背中

蹴りたい背中

  • 作者: 綿矢 りさ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/04/05
  • メディア: 文庫

若い作家さんが芥川賞受賞されたという事で、ずっと読んでみたいと思っていた1冊。

高校一年生の主人公・ハツはクラスメートに溶け込めない。
まだ一学期だと言うのに、すでにクラスでは透明人間のような存在になっている。
同じクラスの「にな川」という男子生徒もまたハツと同じ立場にある。
ひょんな事からハツと「にな川」は共通の話題を持つ事になり、ハツは友情とも恋とも
言い切れない気持ちを抱えつつ、思春期の日常を過ごしていく。
そんな特別事件が起こるわけでもない日々を淡々と描かれた作品です。

自分の思春期を思い出すと、ハツの感じている「世界」への違和感がよくわかります。
世の中のスピードや、徒党を組む人々に虚無感やジレンマを感じるお年頃。
Minも少なからずそんな気持ちを女子校で感じていました。
ただ・・・・主人公はやっぱり子供だなぁと。
読み終えた時、ハツに共感したくない自分が居ました。

自分がその時期をすでに通り過ぎて大人になったからかも知れませんが、
ハツの同級生を見下げるような態度や、殻に閉じこもっている事の根底にあるものが、
強い自意識&自己愛に思えてやや鬱陶しい・・・・。
MinMinは個人的には「ライ麦畑~」のホールデンの態度の方が好きです。
ハツとホールデンはある種同じような違和感を社会や人に感じていると思います。
ただ、ホールデンの方が社会との決別に潔さを持っている気がします。
彼の破壊的にも思える自己否定は、自己愛の強さの裏返しだとは思うのですが、
それでもホールデンの感情の動きの方にMinは純粋さを感じます。

今回は主人公にフォーカスして感想を書いてみました。
「芥川賞を取った文体の云々」って事はMinには難しくて書けないので・・・。


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『姫君』 by 山田詠美 [Books 作家別_やらわ行]

姫君

姫君

  • 作者: 山田 詠美
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 文庫

山田詠美さんの作品集。
好きな話と嫌いな話が混ざっていて、とっても複雑な読み心地な1冊でした。

一番好きなのは『検温』っていうお話。
愛人である男とその実父、そして父の後妻。
ヒョンな事から彼らと短い散歩をすることになった女の話。
女は性的で魅力的なのだけれど、恋は彼女に定着しない。
男が一度は必ず夢見るような女だけれど、何かが足りない。
そんな女が、死を目前にした後妻から、恋の多くを知る。
・・・・・・うぅぅん。ネタバレをせずには上手く書けないけれど、とても深くて
素敵なお話でした。

嫌いなのは『フィエスタ』というお話。
なんだかとっても作為的な気がして・・・・・ダメ。
主人公が美しくないというありがちな設定も、ちょっとね。
「努力をしない、己を知らないブスはこんなでしょ?」って著者が
言っている気がして。
勿論ポイントがそこにないのは分かるんだけど、設定や作為が
鼻についてしまった。残念。

上記の他に3編のストーリーが入った1冊で、好き嫌いは作品ごとに
ハッキリと出ると思います。
山田詠美さんの本は時間を空けて必ず数回読むので、次に読むときは
もう少し違った感想を受けるかもしれないな。
その時はまた感想をUPしたいと思います。


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『自殺』 by 柳美里 [Books 作家別_やらわ行]

自殺

自殺

  • 作者: 柳 美里
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 文庫

なんだかとっても考えさせられる一冊。
「自殺」ってMinMin個人としては大反対。
何故なら、その行為は「自分を愛してくれる人達」の心に傷を残してしまうから。
突発的な死。例えば病死だったり、事故死だったりですら、親族や
身近な人達には大きな悲しみを与えると思います。
でも自殺にはそれ以上の・・・そうだな、「自死を選ばざる得なかった故人」への
複雑でネガティブな気持ちが送る側に残ってしまう。
それがMinにはそれこそ「死ぬ程」嫌で恐いのです。
だからといって自殺を選んだ人たちを非難するという事はMinには出来ません。
逆に、自分がその選択を出来ないからこそ、自殺に至る人の心の動きなどに
興味(と言ったら御幣があるけど)を持ってしまうのも事実です。

この本で柳美里さんが書かれている「自殺も悪くない」と言った意見には
同意しかねますが、『何故そう思うのか』がシッカリ書き込まれている事には
好意を持ちました。
自殺者が増え続ける昨今。
「STOP!自殺」的なスローガンだけでは、その数は減らないと思います。
賛否両論を覚悟の上で、意見を述べる。討論する。結論を模索する。
その姿勢が少なくとも一歩前進するために、今必要な形なのではないかと思います。

色々な「自殺」がこの本の中では紹介されています。
中でもとてもいたたまれない気持ちになったのは、小学生の2人の男児が
それぞれ自殺前に記したとされる数編の詩。
彼らの自殺の理由は、それぞれ明確です。
その明らかな理由に、誰も気付かず、もしくは、気付いても手を打てずに居た事が
とても悲しく辛い気持ちにさせられます。
著者の意見とは全く逆ですが、Minは「全ては生きてこそなんだよ」と彼らに言いたい。
 辛い現実も
 美味しい食事も
 ヒリヒリする痛い記憶も
 小さい幸せも     
どんな感情も経験も貴重で、生きていなければ経験できない。
辛かったら、そこから逃げても良いから、生きることから逃げさえしなければ
素敵な夜や、楽しい仲間と出会える日が来るんだよ。
そんな風に伝えられたらと思いました。

どんな風に読むかは、読み手次第。そんな1冊です。
悩んでいる人や、若すぎる人にはお勧めできない作品ですが、大人には
読んで貰いたいと思いました。
あっ、精神状態が安定してる時に!


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『恋文』 by 連城三紀彦 [Books 作家別_やらわ行]

恋文

恋文

  • 作者: 連城 三紀彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/08
  • メディア: 文庫

だいぶ昔の本ですが、父の書斎から拝借して初めて手に取りました。
文章から優しさと切なさが溢れ出ていて、とてもピュアな本でした。
5編の中編からなる1冊ですが、どのお話も本当に良かったです。
 ※恋文
 ※紅き唇
 ※十三年目の子守歌
 ※ピエロ
 ※私の叔父さん

ともするとTVドラマみたいになってしまいがちなストーリーですが
色彩や香り、登場人物達の息遣いが大事に描かれていて、小説としてとても
完成度が高いと思います。
逆にドラマにはして欲しくない感じ。
多分、ドラマにしてしまうと平面的になってしまって、作品そのものの奥行きみたいな物が
表現し切れないと思うから。
(もうドラマ化されてるのかな?)

この本には「嘘」が沢山出てきます。
優しい嘘。悲しい嘘。
分かっていながら気がつかない振りで耳にする嘘。
たよりない嘘。
切ない嘘。
どれもこれも、ストーリーに多面性を持たせていて、心をギュッと摘まれたような気持ちになります。
嘘を発する人の気持ちになって読んでみたり、逆に騙される立場になって読んだり。
大人にしか分からない、深いけれどはかない感情がそこには感じられます。

一番気に入った作品は「私の叔父さん」。
恋心を抱いていた年下の姪は、結婚後亡くなってしまう。
主人公の男は10年以上経ってから、その姪の娘と出会う。
勇気を持って告白できなかった自分や、時の流れ、当時の姪の事など
切なさを感じつつ生活をする彼は、遠い昔の姪の気持ちを思いがけず知る事となる・・・・・。
といった内容です。
その姪の気持ちを知る方法がなんともアナログで、今の私達にはとても新鮮。
美しくて、切ないお話です。

読んで損は絶対にないと思う中編集。
まだ本屋さんには置いてあると思うので、チャンスがあったら是非読んでみてくださいね。


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『PAY DAY!!!』 by 山田詠美 [Books 作家別_やらわ行]

PAY DAY!!!

PAY DAY!!!

  • 作者: 山田 詠美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/03/25
  • メディア: 単行本

両親の離婚で双子の兄妹ハーモニーとロビンはそれぞれサウス・キャロライナと
ニューヨークで別々に生活する事になります。
どちらも恋に落ちたり、音楽に目覚めたりとティーンとして少しずつ成長していく。
その姿を追っていくストーリーです。
 NY同時多発テロの被害者になってしまう双子の母親。
 恋に破れる人々。
 アル中の叔父さん。
 朴訥な父親の新しい恋。
 信心深く、優しい祖母。
 アルバイトや学校、音楽を通して見えてくる世界。
人間模様と色々な大小の事件が起こる中、ハーモニーとロビンは成長していきます。

で、感想はというと・・・・山田詠美さんの本にしては面白くなかったというのが本音。
いや、普通に楽しんで読むことは出来るし、心にしみるところもあったのですが
メッセージ色が強い分、ちょっと入り込めなかった。

個人的にはハーモニーと人妻の恋のお話はとても好き。
ハーモニーの気持ちが切なくて、キュンと胸に迫ってきます。
「山田詠美の世界」って感じで、鮮やかな色彩や香りが読者に届きます。
ただ、ここでも今までの作品やエッセイに書かれていた事の焼き増し感があり
以前に比べて新鮮さに欠ける気がします。

以前山田詠美さんはエッセイで確か「経験した事を記憶の引き出しに入れておいて
創作の際にベースとして使う」みたいな事を言っていたと思います。
近頃の山田さんのエッセイを読んでいてちょっと感じていたのですが・・・・
お年を召されたんじゃないかなぁ。
「年齢故に今までのような経験出来なくなった」という事ではなくて、
今まで通り色々経験しても心や気持ちの老化によって受けきれなくなったのんじゃないかな?
個人的にはと感じています。

ちょっと的外れな感想かもしれませんので、時間を空けて再度読んでみたいと思います。
勝手なことかいてしまって、お好きな方には腹立たしいかも。
ごめんなさい!


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『M/世界の、憂鬱な先端』 by 吉岡忍 [Books 作家別_やらわ行]

M/世界の、憂鬱な先端

M/世界の、憂鬱な先端

  • 作者: 吉岡 忍
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 文庫

言わずと知れた「宮崎勤」についてのノンフィクションです。
Minの実家の近くに被害者のお父さんがお勤めだったりして、忘れることの出来ない事件です。

異常者=宮崎勤というイメージを誰もが持っていると思います。
でもそれで納得するのは問題の根本の部分を無視しているなと思い、手に取りました。
なぜ彼はそんな人間になったのか?
家庭環境はどうだったのか?
本人の性格は?  
理解者の有無や時代背景は?
それらがとてもよく纏めてあり、この本はとても分かりやすかった。
ただ、やはり答えは何処にもないように思えて、読み終わった後に虚しい気持ちが残りました。

酒鬼薔薇聖斗の事件についても言及。
とても印象的だったのは「生活圏の町」という著者の考察です。
宮崎勤と酒鬼薔薇聖斗の事件のどちらも取材した著者は、それを前後する
悲惨な事件の数々が「生活圏の町」で発生している事に気がつきます。
新しくて清潔。
お洒落で明るい町並み。ショッピングセンターがあり、産婦人科があり
ファミレス、レンタルビデオなど楽しいものが立ち並ぶ町。
でも、人間として生きていく過程で誰もがめぐり合うべき負の部分が見えて来ない。
そんなバービー人形の住む町のようなエリア。
死の存在も、汚物の香りも一切しない無菌室の中のような生活。
事件がおきるのは必ずと言って良いほど、こういった「生活圏の町」だそうです。

確かに町としてとても奇妙で歪んでいる存在だと思います。
人が誕生し、成長して死ぬ。
その間には素敵な事ばかりじゃなくて、汚らしい感情や、欲望ももちろん存在する。
その内なる醜い感情の発散を許さないような完璧に作られた町はやはり
人格形成などに良い影響は与えないのではないかなと思いました。
もちろん犯人たちの凶行はそれだけを理由には出来ないと思いますが
これから少しでもそんな事件を減らすために、着目されるべき事柄だと感じました。

後半部分では酒鬼薔薇聖斗事件で学校生活をめちゃくちゃにされてしまった
地元中学生が立ち直る様も描かれていて、感動的です。
「頑張れ、頑張れ!」と本気で思いました。
彼らは本当に強い。そして悩みながらも成長し続ける。
その若い存在に感激しました。

作者が昭和天皇の戦争責任にまで言及するのはちょっと・・・・と思いましたが
大変良く調べ上げられていて、分かり易い1冊だと思います。
恐ろしい事件を、犯人が捕まったからといって解決したと思わずに心に留めるために
是非ご一読をオススメしたいと思います。


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『海のサロメ』 by 山崎洋子 [Books 作家別_やらわ行]

海のサロメ

海のサロメ

  • 作者: 山崎 洋子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/11
  • メディア: 文庫

通勤用にブックオフで購入した短編集。(105円でした・・・・。)
が、高熱中の暇にまかせてベッドで読破!
↑ だから治らないとの噂もあるけど、眠れないし退屈だったのです。

6つのお話は全てホテルが舞台になっています。
※ブルーレディに熱い夢
※海のサロメ
※霧の心
※風の迷い
※あの道が黄金色に染まる頃
※もういちどあなたと

印象に残るお話と、読んだそばから忘れてしまうような物が混ざっている。
そんな1冊でした。

個人的に一番好きなのは「ブルーレディに熱い夢」。
主人公の風俗嬢のなんともさっぱりした性格が好ましい!
それに、彼女のように「変身(もしくはオシャレ)して少しだけ人生を切り替えよう」って
思う気持ちは多くの女性が持っているんじゃないかな?
そんな気持ちと「幸せになりたい」願望が上手く混ざり合い、
ちょっと切ないけど、元気になるお話になっていると思います。

表題作の「海のサロメ」も女性の心の残酷さが鋭く描かれていて
興味深かったし、「あの道が黄金色に染まる頃」は読み終わった後
物凄く悲しい気持ちになるお話でした。
でも、個人的には他のお話はピンと来ないというか、
もうちょっと心境などを丁寧に描かれていたら印象が違うんじゃないかなと思いました。
(風邪のせいでこんな感想なのかも・・・。参考にならなくてごめんなさい。)


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