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『心臓を貫かれて』 by マイケル・ギルモア [Books 海外]


心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: マイケル ギルモア
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 文庫



心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: マイケル ギルモア
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 文庫



著者の「犯罪加害者の家族」という立場から語られたノンフィクションです。

長男・フランク、次男・ゲイリー、三男・ゲイレン、そして年の離れた末弟・マイケル。
厳しいモルモンの世界を飛び出し、ろくでなしの父・フランク・シニアと結婚した母・ベッシー。
絶対君主的に振舞う父は気まぐれに母を殴りつけ、フランク・ゲイリー・ゲイレンには
殴打と暴言を与え続けます。
そんな生活の中でゲイリーとゲイレンは日を追うごとに荒んだ心を持つ青年に
成長してしまいます。
そして最終的にゲイリーは殺人を犯し死刑に、ゲイレンもまた暴力事件がもととなった
怪我で命を落としてしまいます。
両親も亡くなり、残されたフランクと著者であるマイケルが家族の歴史を軸に
死刑執行までだけではなく、その後の人生にも多く言及している1冊です。

過酷な環境で育ち生きていく中で、人生そのものを慈しむ事が出来なくなってしまう・・・。
まさに四兄弟全員が、親からの虐待の犠牲者だと言えると思います。
年が離れていたためか、溺愛されたマイケルですら、トラウマから女性との
関係を長続きさせられず苦悩を強いられています。
長男フランクは、長男であるが故に自由を、金銭をそして労力を毟り取られながら
家族を支えなくてはならなかった。
子供達が抜け道のない地獄の迷路のなかを手探りで歩くような状況に
読んでいて胸が痛くなりました。
同時に、それでもなお両親を憎みきれない著者・マイケルの感情が文中の
そこかしこから感じ取れて、切ない気持ちになりました。

翻訳をされた村上春樹さんは
『ある種の精神の傷は、一定のポイントを越えてしまえば、人間にとって治療不能な
ものになる。それはもはや傷として完結するしかないのだ』とあとがきで書かれています。
MinMinはこの言葉の完全さに打ちのめされてしまい、以来心の中で反芻しています。

しつけと称して振るわれる暴力や耳をふさぎたくなる暴言。
ネグレクト。
親や大人の考えられないくらい幼稚な判断で被害を受ける子供のニュースを
聞かない日は無いと言っても過言ではないでしょう。
だからこそ、目を逸らさずに読んで良かったと思える1冊です。
全編通して辛い内容ですが、こんな時代だからこそ、第二のゲイリーを生まないために
是非沢山の方に読んで欲しいと思います。
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『冷血』 by トルーマン・カポーティ [Books 海外]

冷血

冷血

1950年代、アメリカ・カンザス州。
平凡な田舎町で残忍な一家四人の惨殺事件が起こります。
この作品は被害者の人となりをはじめ、捜査、逃亡劇、そして犯人の姿が描かれた
ノンフィクション小説です。

小学生の時にチャレンジして、挫折したままになっていた作品。
本屋さんで新約を何気なく手にして読んでみました。
で、ハマってしまいました。ドップリと。
何でアメリカ時代に読まないかなぁ・・・自分!

この作品では、作者・カポーティは一定の距離を持って事件に接しています。
先入観やむき出しの感情をあえて書き込まないことで、事件とそれを取り巻く
当時の様々な社会を浮き彫りにしています。
一つの殺人事件の根底には、人種や家庭、教育の問題など個人の力では
ほどこうと思ってもほどけない澱のような事柄が沈んでいます。
勿論生い立ちだけが理由でもない。
逆に言えば犯人達がモンスターとして生まれて来たワケでもない。
ストーリーは淡々と進むのですが、描かれている事実から非常にやり切れなくて
苦しい気持ちを味わいました。

この上なく模範的な生活をしていた被害者たち。
ほんの数十ドルのために惨殺された彼らは勿論被害者ですが、事件に伴って
変化を見せる住民の姿からも圧迫感を得ます。
それまで夜間に鍵すらかけなかった彼らが疑心暗鬼に陥って行く姿。
犯人が外部の人間と分かった時の安堵と落胆。
人が人であるが故に持ちうる一筋縄では行かない感情が読者の心を乱します。

この『冷血』の原題は「In Cold Blood」といいます。
MinMinは(物凄く勝手な感想ですが・・・)この「冷血」という言葉が犯人ではなくて
著者自身に向けられているような気がしてなりません。
もしくは・・・・読者も含めた全ての人って気もするな。
結局犯行の理由も、タイトルの向いている方向も正しい答えは見つかりません。
でも、心の溝や社会の澱の部分について、考えるのではなく感じさせてくれる1冊です。
未読の方は是非読んでみてください。
「遠いアメリカの昔の話」とは言い切れない気がします。


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『老人と海』 by アーネスト・ヘミングウェイ [Books 海外]

老人と海

老人と海

不屈の名作・・・・33歳にして始めて手にしました。
キューバの老漁師・サンチャゴ。
彼は長く釣れない状況を享受しつつも不屈の精神でたった一人漁に出ます。
そこで巨大なカジキマグロを釣りますが、帰路にサメに襲われてしまいます。
船にくくりつけていたカジキマグロは徐々に、しかし確実にサメに食いちぎられていく。
苦しい死闘の中で友情にも似た感情をカジキマグロに対して感じていたサンチャゴは
ほとんど骨と化してしまったカジキマグロをそれでも港まで連れて帰る。

淡々とした表現の中にサンチャゴの気骨あふれる姿が手にとるように描かれています。
男の中の男って感じ。(←個人的な感想なので、ピントが外れているかも・・・・。)
彼は媚ず、へこたれず、雄雄しく威風堂々と物事に対峙します。
それが、カジキマグロだろうが、彼を慕う少年だろうが。
彼の行動はそのまま彼の内面と直結していて、そのブレのない表現がとても素敵でした。

作品そのものも自然とサンチャゴが醸し出すピリッとした空気をダレささる事なく
最後まで緊張感を持って読むことが出来ます。
そしてたどり着いた結末。
漁に勝ったサンチャゴ。その後感情の頂上に居た彼は実質的な負を身に受ける事になります。
そんな経験の中で彼は運・敵・友・罪など神から与えられたであろう人間の業について
新たに何かをつかみ港に到着する。
様々な感情を感じながら、浜にたどり着くサンチャゴ。
そこに彼を待つ少年が存在することが、言葉にならないほどの救なんだってMinはしみじみしました。
うぅぅん。凄い。

時間をあけてまた読みたいな。
孤高のサンチャゴに触れる事で心がマッチョになった気がする、とっても深い1冊です。


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『死体しか愛せなかった男―ジェフリー・ダーマー』 by ブライアン・マスターズ [Books 海外]

稀代の殺人鬼・ジェフリーダーマー
彼の生い立ちや犯行、そして裁判を1冊の本にまとめたのがこの本です。

原書で読んでいないので、はっきりこんな事書いてしまって良いのかは分かりませんが
訳が若干まどろっこしい・・・・・。
ただ、個人的には内容にとっても興味があるので、最後まで物凄い勢いで読みました。

以前にジェフリーの父、ライオネルが書いた手記を読んだときも思ったのですが、
読んでも読んでも、何故彼があんな残忍な殺人を犯すことになったのかの理由は分かりません。
簡単に本に書かれている内容だけを追うと、
 ①両親の愛情のかけかたの問題
 ②幼少期の手術体験
 ③異常なほどのシャイな性格
 ④幼児期の度重なる引越し
 ⑤ホモセクシャルであったという事実 etc etc 色々理由らしきものには行き当たります。

ただ、そんな状況に居る子供はいくらでも居る。
特にアメリカでは、もっと粗悪な生活環境の中で生きている子供達もいっぱいいるわけです。
Minの知り合いで本物のコインロッカーベイビーだった女の子も居るくらいですが、
彼女は大学院まで出て立派にまともに生きている。
じゃあ、逆に彼らが連続殺人犯にならなかった理由は?

淡々と事実だけを綴ったこの1冊には答えは書かれていません。
生い立ちから事件の詳細、裁判の進行とその内容が細部に渡るまで書かれてるにも
関わらず・・・・です。
だからと言って読み手に委ねられているわけでもない。
誰にも分からないんです。多分、ジェフリー・ダーマー本人にすら。
手探りで真っ暗な空洞の中を進むような内容。どこにも光が差さない彼の心と犯した罪。
こちらの感情まで削られるような内容に胃が痛くなります。

Minは犯罪心理学にとても興味があるので、心を痛めながらも読み進められました。
とっても読むに耐えない描写も出てくるのであえてお勧めはしません。
ただ、個人的にはこういう事件があった事から目を逸らしたくない・・・・・そんな風に思っています。


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『悪魔が目をとじるまで』 by デイヴィッド・リンジー [Books 海外]

うわぁ。バリバリの訳本だぁ。
物凄く感情移入がしにくい・・・・・楽しみきれないっす。
この手の洋物ってどうしてこういう訳し方をするのかしら?
かなりB級の香りのする対訳。
陳腐な洋風の形容詞をそのまま日本語にしても読むほうはバタ臭くて変な気分・・・・。

何はともあれ、ミステリーです。
異常な殺され方をした美女達。その事件を追う女性刑事パーマ。
お話はあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、ちょっとずつ進んでいきます。

内容はもうこの際良いや・・・・・。大して面白くなかったし。
それよりMinからのシンプルな質問があります。
そ・れ・は・・・・・何で登場する女性が99%美人なんだろう?
やれバタ色のブロンドだの、灰色のニュアンス溢れる瞳だの、モデルのような
肢体だの・・・・・。書いているだけで馬鹿馬鹿しくなる程の美人だらけ!
これじゃぁ気持ちは入れられないよぉ。

その上、彼女たちのほとんどはリッチ!かなりのお金持ちの方々です。
それもアガサ・クリスティーなどの作品の登場人物がかもし出す「身に付いたリッチ」じゃなくて
なぁんかチープな香りのする、偽物感。
まぁいずれにせよ、うっかりしていてガス代払い忘れそうになってアワアワしたMinには遠い世界さ。
・・・・そう、彼女たちはたまたま立ち寄ったドラッグストアで105円のシュウマイを見つけて
狂喜したり、さらにそれが賞味期限前日で20%引きになっていた物を買ったりしない。
それを揚げシュウマイにして、夫婦で缶チューハイの肴にしたりは・・・・決してしない。
(書いてて自虐的な気持ちになってきた。とほほ。)

余程お暇な人 or 洋物好きな人にじゃないと、Minはこの作品はお勧めできないなぁ。
上下巻の大層なが~いストーリーに、くどい描写のオンパレード。
犯人を推測する楽しみの前に、そっちでゲンナリしてしまいました。
描かれる倒錯したセクシャルな世界もシーンを重ねるごとに「またぁ?」と思ってしまうし。
時間をかけて読んだのに大失敗~!
ん、もう!絶対この作者の本は読まないぞぉ。


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『星の王子さま』 by サン・テグジュペリ [Books 海外]

星の王子さま―オリジナル版

星の王子さま―オリジナル版

世界中で愛され続ける『星の王子さま』。
MinMinは「心がちょっとささくれ立ってるな」と思ったとき、必ず読みたくなります。
子供の頃よりも、大人になってからの方が色々な思いが心に沁みる1冊です。

自分なりの「人としての理想」は常に心にあるのですが、
日常に忙殺され、より一層の利便性などを求めすぎるあまり物欲を高め
社会のスピードに飲み込まれてしまう事がとても多い。
欲望自体を悪い物と断定するのは、違うと思いますが、時々Minは
「現実の姿:理想とかけ離れた自分」と、「理想の人間性」のギャップに気がついて
物凄い疲労感を感じる事があります。

この本からは大人だからこそ深く理解出来る「本来の幸せ」が溢れ出ていて
そんなダウンした気持ちが癒されます。
身近にある小さな幸せ。
それがどれだけ人生を豊かにしてくれるか、シンプルな文章で王子さまは語りかけてきます。
見えない物、余所見をしてる間に通り過ぎてしまう物。
その一つ一つを立ち止まって、「自分の心で感じたいな」と読むたびに再確認します。

優しい言葉使いで心を暖めてくれる「哲学書」。
Minが言うまでもありませんが、素晴らしい本だと思います。
フラットで味気なくなりそうな人生をリセットするチャンスをくれる。
疲れて流されそうな自分を優しく助け出してくれる。
ゆっくり時間をかけて何度も読みたいと思う1冊です。


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『ダ・ヴィンチ・コード』 by ダン・ブラウン [Books 海外]

ダ・ヴィンチ・コード(上)

ダ・ヴィンチ・コード(上)

もっと早く読めば良かった!
ミステリーとしてもなかなかだったけど、キリスト教や絵画に関して
新しい風をMinの頭に吹き込んでくれた1冊です。
象徴学の面白さに触れる事も出来て個人的には大満足♪
単行本3冊で読んだのですが、各巻頭にストーリーの関係してくる絵画や
彫刻、建造物の写真があるのも嬉しい☆
読んでいて「太古の謎の中」を泳いでいるような、神秘的で興味深いお話でした。

登場人物で好きなのはシラスという色素欠乏症の修道僧。
その信仰心の強さが痛々しいのだけれども、何故か惹かれてしまう。
日本人の私達にはシラスの心は理解しきれないし、暴走してしまうその姿に恐怖を感じます。
けれど、どこかに真っ直ぐな純粋さを感じるのはMinだけかしら?
ちょっと変かな?
逆に登場の瞬間から「嫌いだ」と思ったのはリー・ティービング!!
何となく裏がありそうだなぁと思っていたら、やっぱりね・・・と言う感じ。
このリー・ティービングからは何故か聖杯に対する濁った情熱みたいな物を感じました。
たぶん実在したら鬱陶しいタイプ!(←勝手に決めつけ中。)

それにしても・・・・・象徴学って本当に面白そうですね。興味津々。
よくよく考えれば世の中のさまざまなマークにはその地域や人種のそれまでの
ルーツが詰まっているんですよね。  それは宗教だったり自然だったり。 
日本で言えば「家紋」とかかぁ。  
今までシッカリ見た事のないそういった物にご先祖様からの色々な事が詰まってる!
それに気付かされただけでも、得した気分。
「この本読んで良かった」って思えます。

読者の視点によって、ミステリー以外の楽しみ方もあるこの作品。
皆さんはどんな風に読みましたか?


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『ナイン・ストーリーズ』 by J.D.サリンジャー [Books 海外]

ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリーズ

高校生の頃に何度も読んだ本の再読です。
『ライ麦畑~』で初めてサリンジャーを知った当時のMinMin。
丁度お年頃だったこともあり、案の定大ハマリでした。
で、その流れでこの短編集を知りました。
それ以降時間を空けて何度も読んだけれど、その都度新鮮で大好きな1冊です。
収録作品は・・・・
  ※バナナフィッシュにうってつけの日
  ※コネティカットのひょこひょこおじさん
  ※対エスキモー戦争の前夜
  ※笑い男
  ※小船のほとりで
  ※エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに
  ※愛らしき口目は緑
  ※ド・ドーミエ=スミスの青の時代
  ※テディ

どの作品も共通しているのは「生きる事」に不器用な登場人物。
本人たちが大真面目に生きているだけに、読んでいて切なくなります。

特に好きなお話は以下の2つです。
  『バナナフィッシュに~』
  主人公シーモアが海でシビルという少女と仲良くなります。
  で、シビルの足にキスをするのですが、そのシーンが大好き。
  シーモアの暖かい唇とシビルの小さい足のイメージが頭から離れません。
  あと「バナナを食べ過ぎて穴から出られなくなるバナナフィッシュ」の生態(?)に
  なんだかシーモアの人生の行き着く先を感じてしまって、悲しい。

  『対エスキモー戦争~』
  この本の中で一番好きかも知れない。
  女学生ジニーが、友人宅を訪問した際にその兄と出会います。
  彼は少し心を病んでるご様子。
  躊躇しながらも交わす会話の中で、ボンヤリとどこか底辺の部分で分かり合う2人。
  ただそれだけのお話だけれど、ジニーの心が優しく変化していく様が好き。
  そして最後のサンドイッチの一文は最高!

どれも簡単な言葉で書かれている反面、読者の心を細かく揺さぶります。
賛否両論ありますが、Min的には野崎孝さんの訳も素晴らしいと思いますので
一読の価値はあると思いますよ♪
ただ、欲を言えば是非原書にもチャレンジしてみてもらいたいな・・・・。
『ライ麦畑~』もそうですが、サリンジャーの作品は原書で読むと、その言葉遣いが
とても印象に残ります。
日本語版と原書、そして辞書。 テーブルに並べてチャレンジしてみませんか?
訳で読むだけとはまた別の印象を受けられるかもしれません!


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『喪失』 by カーリン・アルヴテーゲン [Books 海外]

喪失

喪失

会社帰りにタイトル買いしてみた1冊。
ハズレが多いギャンブル的衝動買いですが、これが面白かった♪

両家の子女として育ったシビラは10年以上ホームレスとして暮らしています。
その暮らしを彼女に選ばせたのは、我が子を理解しようとしない両親との軋轢。
ホームレス生活の厳しさから衰えてはいるけれど美貌の持ち主であるシビラ。
ある時自分が騙した成金男が殺害されるという事件に巻き込まれます。
その上、様々な証拠からシビラは無実の罪を着せられそうになってしまう。
社会的に「無い物」とされている存在の彼女は逃げて逃げまくります!
だって味方なんて誰も居ない。
心や体を休める所なんて、どこにもない。
紆余曲折の後、たった一人だけ味方を見つけたシビラは自分の存在を守るため
事件の真相に迫って行きます。

事件の真相に迫る展開が早くって、もうドキドキでした。
四面楚歌状態の中で力強く頑張るシビラの生命力が魅力的。
けれどホームレスになった経緯に見る彼女の心の繊細さや
育った町や家庭の環境がちょっと心にチクッと来ます。
お話の途中で様々な家をシビラが訪問するのですが、イチイチその家屋について
「成金趣味!」などと上流階級的な文句をたれるのが悲しい。
自由を求めて、ホームレスにまで落ちぶれているのに、身に染み込んでいるプライド
シビラをそうさせている気がして、切なかったです。

事件を切り抜けて、自分なりの「存在」を取り戻すと同時にシビラは
本当に希望していた自分の人生を歩み始めます。
小説と分かっていても、その先の彼女の人生に幸多かれと思わず願ってしまいます。
それだけ入り込んで読んでいたって事なのでしょうね。
海外のお話にアレルギーがなかったら、是非読んでもらいたいミステリーです。


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『箱のなかのユダヤ人』 by トマス・モラン [Books 海外]

箱のなかのユダヤ人

箱のなかのユダヤ人

第二次世界大戦後期。
主人公ニキの父親は、ニキの命の恩人であるユダヤ人医師を納屋にかくまう事を決意します。
箱の様に細工した納屋の中のユダヤ人医師の面倒を託されるニキ。

Minはこの本を読んで、これはナチについてのお話ではないと感じました。
閉鎖的な村社会に住むニキにとって、突如現れたユダヤ人医師は初めて触れる
外の世界であり、見たことのない現実。
なぜなら、ユダヤ人医師同様、ニキも村社会という「箱」に生きているからです。
幼馴染のジギや友人たちと共に年齢相応の成長をしてきたニキですが
ユダヤ人医師と関わる事によってそれ以上に心が成長している様子が描かれています。
悶々と悩み、性に目覚め、大人に不信感を抱き、死を恐れる。
狭い世界でアンバランスに生きる村人達の様子がエッセンスとなり、それは陰鬱に
でも鮮やかに書かれていると思います。

ユダヤ人が箱から出るその時、ニキはニキ自身の「箱」から出られるのでしょうか?
ちょっと長丁場ですが、一気に読めます。
翻訳物に抵抗がない方には是非読んでみて欲しいなと思います。
もちろん、ナチについて考えさせられる部分も多分にありますので、そちらの意味でも
オススメです。


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